閉じた二人(2)

来客のときはまあまあ
いい感じでふるまって会話も
(同じことを繰り返すにせよ)
まずまず成り立っており

身になじんだコミュニケーション
能力のおかげで一見すると
うまくやっているようだが

実のところ、正確な返答ができて
いなかったり、興味の幅がすこぶる
狭まり(もはや孫にも関心ないよう)
使う単語の種類も減って…

母が話をすることは
確実に減ってきている。



認知や記憶の衰えは
自然な流れともいえるが

人と話す機会の激減が
それを後押ししているように
わたしには見える。

(週二回の通所リハビリで
スタッフさんたちと会うほかは
基本同居人であるわたしとしか
接触しない毎日。

わたしも常に100%の力で
母サービスできるわけでない。
衣食住最低限の世話はなんとか
ぎりぎりしても、実は母と同じ
空気吸っているのも苦しい~
なんてことは多い)

姉ですら「認知症の進行を
遅らせるには家族の努力必要」
とさんざん医師に言われたと
わたしに伝えながら、自分は
老いた母と接触したがらない。

たまに母の妹たちが電話くれ
母と会話してもらうときもあるの
だけれど、母の受け答えが
「その場しのぎのもの」というのは
もろ伝わっているだろうと、そばに
いるわたしとしては申し訳ない
気持ちになってしまう。

ああ、だれに
母とのお喋りを頼めようか。

しかしこれでは
なし崩し的な負のスパイラル
ではないか。

わたしのなかにある

自分のメンタル守るため
母との距離をとること
「仕方ない」と言いたい気持ち



これではますます
母の認知衰えが進むから
何か手だてはないものか
の叫び。